ストレスチェック制度が義務化され(2015年12月施行)、義務化対象の50人以上の労働者をかかえる事業場のみならず、50人未満の事業場においてもメンタルヘルス対策に関するご相談をお受けする機会が多くなってきました。
小規模事業場ではまず、4つのケアのうち、すべての労働者が対象の「セルフケア」と管理監督者が対象の「ラインケア」から着手することから始めましょう。そこで、大切な役割を果たすのが、(安全)衛生推進者です。特にラインケアがうまくいくようにサポートすることも(安全)衛生推進者の役割の一つです。
目次
(安全)衛生推進者ってどんな人?
労働安全衛生法は労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境の形成を促進することを目的として定められた法律です。
労働条件や職場環境・設備などを適正に保ち、働く人たちの生命と健康を守ることは、事業者の責任に属する事柄です。しかし、事業者は事業運営その他で経営面の仕事に従事することに多忙であるため、その指揮を受け、事業者に代わって安全衛生業務を具体的に処理してくれる人が必要になります。これが「(安全)衛生推進者」です。
選任義務のある事業場
労働安全衛生法第12条の2により、10人以上50人未満の場合は、(安全)衛生推進者の選任が義務付けられています。この労働者数には、日雇い労働者やパート・アルバイトの方も含まれます。
事業場(会社全体ではありません)の労働者数がパートさんなどを含めて10人以上になった時から14日以内の選任が必要です。選任された安全衛生推進者の氏名は事業場の分かりやすい場所に掲示しましょう<安衛則 12 条の 4> 。
対象業種は?(安衛法12条の2)
業種によって、安全衛生推進者か衛生推進者かどちらかの選任義務があるかが決まります。
安全衛生推進者
↓
林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸・小売業、家具・建具・什器等卸・小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業
衛生推進者
↓上記以外の業種
どんなお仕事をするのでしょう?<安衛法 12 条の 2(同法 10 条 1 項各号、同則 3 条の 2)>
(1)労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること
(2)労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること
(3)健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること
(4)労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること
(5)安全衛生に関する方針の表明に関すること
(6)危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント)及びその結果に基づき講ずる措置に関すること
(7)安全衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること
(安全)衛生推進者になるための資格は?
(1)大学又は高専卒業後に1年以上安全衛生の実務に従事している者
(2)高等学校又は中等教育学校卒業後に3年以上安全衛生の実務に従事している者
(3)5年以上(安全)衛生の実務に従事している者
(4)安全衛生推進者養成講習・衛生推進者養成講習を修了した者 上記(1)~(3)の要件を満たしている方にも養成講習等の受講がすすめられています。
(5)安全管理者及び衛生管理者・労働安全コンサルタント・労働衛生コンサルタントの資格を有する者
養成講習の実施機関は?
香川県であれば、一般社団法人香川労働基準協会で開催されています。対象事業場の方(特に上記(5)の資格保有者を除く)は、担当者を選任の上受講の申し込みをしましょう。