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働き方改革実行計画に定められた時間外労働の上限規制
2016年9月27日の第1回「働き方改革実現会議」は、2017年3月28日までに全10回を終え、「働き方改革実行計画」が策定されました。
施行予定は2年後の2019年4月の見込み。準備期間は約2年です。
36協定を結ばずに残業をさせている事業場もあります。
36協定って何?
36協定とは、正式には「時間外・休日労働に関する協定届」といいます。
労働基準法第36条が根拠になっていることから、一般的に「36協定」とで呼ばれています。
36協定を結ぶことで、事業場は1ヵ月45時間、1年360時間まで残業をさせることができます。
そして、突発的なことが起こった時にのみ、特別条項を結んでいれば、1ヵ月45時間を超え、事業場が定めた時間時間外労働をさせることができます。
この特別条項の限度時間には法定休日分の労働時間は含まれません。
そして、特別条項さえ結べば青天井で合法的に残業をさせることができるというものです。
しかし、過労死や自殺等、様々な事件がきっかけとなり、この法律にメスが入ろうとしています。
今回の法改正は、まさに、現行の限度基準告示を法律に格上げし、罰則による強制力を持たせるとともに、従来、上限無く時間外労働 が可能となっていた臨時的な特別の事情がある場合として労使が合意した場合であっても、上回ることのできない上限を設定するもの。
法改正の考え方
•週40時間を超えて労働可能となる時間外労働の限度を、原則 として、月45時間、かつ、年360時間とする。
•特例として、臨時的な特別の事情がある場合として、労使が合 意して労使協定を結ぶ場合においても、上回ることができない 時間外労働時間を年720時間とする。
• かつ、年720時間以内において、一時的に事務量が増加する場 合について、最低限、上回ることのできない上限として
①2か月、3か月、4か月、5か月、6か月の平均で、いずれ においても、休日労働を含んで、80時間以内
②単月では、休日労働を含んで100時間未満
③原則を上回る特例の適用は、年6回を上限•労使が上限値までの協定締結を回避する努力が求められる点 で合意したことに鑑み、さらに可能な限り労働時間の延長を短く するため、新たに労働基準法に指針を定める規定を設け、行政官庁は、当該指針に関し、労使等に対し、必要な助言・指導を 行えるようにする。
ただし、自動車運転や建設業、医師、研究開発に関しては、適用除外等の取り扱いがされる予定です。
詳しくは、働き方改革実行計画(概要)をご覧ください。
社員への周知が義務づけられている36協定の協定時間ご存知ですか?
36協定や特別条項を結んだ際は、その内容を社員に周知することが義務付けられています。
しかし、年間100を超える事業場を訪問していますが、多くの事業場で人事労務担当者すらこの締結している特別条項の時間数を意識していません。
聞かれて即答できるのは10社に1社にも満たないというのが現状です。
労働時間を意識し、本気で時間外労働を削減しようと取り組んでいる会社は、特別条項の周知にとどまらず、管理監督者への教育研修の機会を与えています。
そして、年間を通して、最も多い人が1ヵ月に何時間の時間外労働をしているかを把握しています。
まず現状を見える化することが大切です。
それが出来て初めて、月の半ばでアラームを鳴らして協定時間を超えないように管理職に仕事の割り振りをマネジメントさせたり、特定の人に時間外労働がかたよる原因を明らかにすることで多能工化や平準化をすすめることができるのです。
タイムリミットまで約2年。多能工化に着手して形になるまで何年?
1人の人に仕事が偏る理由は単純です。
出来る人に仕事が集ります。
資格を持っていないと出来ない仕事があります。
人を育てるよりも、出来る人にやってもらう方が楽です。
自分でやった方が早いから自分でしてしまう。
計画性のないマネジメントにより、指示出しが遅くて、出来る人にやらせてしまう。
任せているという名の放置、企業が人を育てようとしなかったツケが、仕事の属人化に繋がり、一部の人の過重労働に繋がっているパターンがほとんどです。
あなたの会社では、仕事の平準化、多能工化は進んでしますか?
「5年経ってようやく形になってきたよ。」
「多能工化に着手し始めたのはかれこれ10年も前になるよ。」
時間外労働の削減に取り組み始めて、業務の多能工化や平準化をすすめてきた会社では、このようなお話をききます。
当たり前ですが、人は1日では育ちません。
「何回言ったらわかるんだ!」 その答えは「500回」です。
ビリギャルを指導した坪田さんはこうおっしゃっています。
時間外労働の上限規制。タイムリミットまで約2年。あなたの会社では何から着手しますか?