「24時間働けますか?」
そんなCMが流れていたことをご存じない時代にお生まれの方もいらっるでしょう。
最近では、”ワーク・ライフ・バランス”という言葉も耳にする機会が増えたように思います。
仕事がら、年次有給休暇の取得の促進とそのメリットなどを県下の事業場に出向いてお話ししています。
県下の様々な事業場に足を運んでいますが、年次有給休暇の取得促進についてお話しすると、よくこのような回答をいただきます。
目次
取得する人はするし、しない人はしない
ほとんどの事業場で、年次有給休暇を取得する人はするし、しない人はしない。
取得日数ゼロという人も少なくない。という事業場もあります。
そして、取得日数ゼロという、一見猛烈に仕事を頑張っている人は、自らの仕事を自分だけで抱え込んでしまい、周囲との共有化や見える化が全くできていなかったりします。
その人がいないと業務が滞る、顧客に迷惑をかける状態になっていませんか。
万が一、その人がお休みしたときを想像してみてください。
顧客からの問い合わせに対して、「あれはどこ?」、「これがない」と周囲のメンバーはバタバタ。自分の業務を離れて探し物をしている時間とその人の時給、その時探し物をした人数をかけ合わせてみましょう。
日ごろから業務の見える化をしていれば、無駄なコストが発生することはありません。
全く取得をしない方がいらっしゃる事業場は、年に1回でも誰にでもあるお誕生日などを「メモリアル休暇」などとして、全従業員に取得を進めてみましょう。
その人が休んだ時に何に困るのか、それがわかれば具体的に何を見える化すればよいかもわかります。
まずはそこからはじめてみましょう。
病気のために取っておく人がいる
何かあった時のためにとっておく人がいるから。
諸外国では、年次有給休暇は「家族や自分のために使うもの」ですが、日本では「病気やケガ、何かあった時のために取っておくもの」という意識をお持ちの方がまだまだ多いです。
年次有給休暇取得促進という点から、そして今後、仕事と介護の両立支援、仕事と病気との両立支援という観点からも、保存年休(年次有給休暇の時効分を積み立ておく制度)の活用をおすすめします。
保存年休とは、本来であれば消滅してしまう年次有給休暇(以下「年休」)を一定の日数まで保存し、私傷病、親の介護などによる長期欠勤の際に取得できるようにする制度のことをいいます。
労働基準法で定められたものではありません。会社独自の規程を定めることになります。
こんなご相談をうけたことがあります。
「長年、有給を一日も使わなかった方がガンを患って長期休職している。年次有給休暇は使い切り、他に利用できる制度がないので、今は欠勤扱いにせざる負えない。今後も安心して働き続けてもらうためにも、保存年休の導入を検討しているのだが、どうすればよいだろうか。」
これからの時代、労働人口がますます少なくなるなかで、今いる労働者にいかに長く働いてもらうかはこれからの企業存続の一つのカギとなります。
保存年休の導入により、本来の年次有給休暇を病気や何かあった時のために取っておきたいと考える方も少なりますし、逆に、保存できることを考え、欠勤になるまで使い切ってしまう人も減ります。
導入の際は、以下のような項目を労使で話し合って規程しておく必要があります。
1)保存有給休暇としてストックできる年休の上限日数
2)保存有給休暇を取得できる事由
3)年次有給休暇との兼ね合い(保存有給休暇は、法定の年休をすべて取得した後に初めて使用できるなど)
4)出勤率計算などにおける保存有給休暇取得期間の取扱い
5)保存有給休暇取得期間と休職の期間との関係 他
有給取得されたうえで今の人件費をキープする?
あるとき、年次有給休暇の取得を促進の方法をお伝えすると、同席されていた先生が事業主にこんなことをおっしゃいました。
「今の人件費が○×▽円だから、年次有給休暇を取得させたうえで、○×▽円になるように考えておかないとダメだよ。」
年次有給休暇の取得日数を見越して、時給単価を下げるとか、そんな話になると本末転倒です。
人件費だけで考えてよいのでしょうか?
例えば、その会社では派遣会社からたくさん人を紹介してもらっています。
その派遣会社に支払うお金もある意味人件費です。
家計もそうですが、食費がたくさんかかっているから抑えよう、今月は4万円までにしよう!と言いながら、お菓子をたくさん買っていたら、それも食費のうちで、結局トータルコストを抑えることになりません。
年次有給休暇の取得を促進することで、本人がリフレッシュできて生産性が向上したり、休暇が取得しやすい環境が整備されれば、派遣会社を使わずとも人が集まる会社にしていく第一歩にもなります。
トータルコストを考えて取り組みを進めていく必要があります。
あなたの会社は休暇が取得しやすい会社ですか?