労働契約法に基づく無期転換ルールへの対応、すすめていますか?

この前年が明けたと思ったら、2月もそろそろ終わります。年度末の3月も目前に迫ってきました。

今月に入ってから、働いている方からのモヤモヤ、何とも言えないソワソワ、ザワザワした気持ちを聞くことがよくあります。

 

目次

ソワソワ、ザワザワする心境の原因は?

2月に入ると、期間の定めのある、1年単位や3年単位などの有期労働契約の方へ来年度の継続の意向をヒアリングする企業が増えてきます。

そのヒアリング前に、「今回で契約を打ち切られるのではないか」、という漠然とした不安感に襲われたり、

「今後どうするか。このままこの会社で働くか、それとも別の会社を探すか」自分の働き方について改めて考えたり・・・

企業の人事労務担当の方とお話しすると、「期間の定めがあるといっても、形式的なもので自動的に更新されているようなものだからねぇ。」

なんてお話をされたりするのですが、当の有期労働契約者は言葉にならない不安を抱えていて、2月に入ると自分の立場を嫌でも見つめなおすことになるのです。

今、非正規社員の割合は4割弱です。非正規社員といっても、契約社員やパート社員、嘱託社員、派遣社員などいろんな雇用形態の人がいます。

そして、「非正規=有期労働契約」という図式が必ず成り立つのではなく、パート社員で期間の定めのない無期契約の人もいます。

今日は雇用不安を抱える人を少しでも減らすことができればと、そんな目的で制定された法律について考えてみたいと思います。

 

改正労働契約法の一つ。無期転換ルールってなんだろう?

無期転換ルールは、同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合、有期契約労働者(パートタイマーやアルバイトなどの名称を問わず雇用期間が定められた社員)の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されることです。
有期労働契約で働く人は全国で約1,500 万人、その約3割が通算5年を超えて有期労働契約を反復更新している実態にあり、ほぼ「自動的に」更新を繰り返しているだけといえますが、雇止めの不安の解消、処遇の改善が課題となっています。そのため、有期契約労働者の無期化を図り、雇用を安定化させる目的で、平成25年4月1日に改正労働契約法が施行されました。

平成25年4月より前に反復更新されていた契約期間は入らず、施行された平成25年4月からの契約がカウントされます。

1年更新の人であれば、平成30年の4月以降、この法律が適用されることになります。

労働者本人から「無期にしてください」という申し出があれば、企業側に断る権利はありません。

準備がまだの企業はそろそろ方針を決定する時期にあります。

無期転換後にどのような労働条件とするのか

大きく3つのパターンに分けることができるでしょう。

1.有期労働契約から無期労働契約へ(労働条件はそのままに期間の定めだけなくす)

2.地域限定社員などの新たなカテゴリーを新設する

3.正社員にする

会社によっては、5年を待たず、正社員化もしくは地域限定社員にするとか、今後ますます採用が厳しくなる、人の確保が厳しくなる状況を踏まえて有期労働契約という採用をやめるなどの対応を考えているという話も聞きます。

とりあえず、期間の定めだけをなくそうと考えている企業も多いように感じます。

しかし、無期転換ルール対応については、まだこれから考えるというところが大半です。

 

申し出があれば無期にすればよいだけ?

本人から申し出があれば、問答無用で無期に転換しなければならないのだから何もしないでよいかというとそうではありません。

退職の際、民法上は2週間前に伝えればよいという話になりますが、2週間では対応に困ってしまうので、会社ごとに「1か月前までに申し出るように」とか「3か月前までに」などの期間を就業規則に定めています。

それと同じで、何のルールも示さないままに、労働者から申し出があった時に対応するのは厳しいものがあります。

最低限、「いつまでに、どのような手続きを踏んで申し出をするのか」をルール化して周知しておくことで混乱を防ぐことができます。

ただ、これはあくまでも最低限のルールであり、実際は有期労働契約者を今後どのように活用していくのか、会社としての方針を明確化しておくことが重要です。

就業規則の改定までの作業や手続きを該当者が出る前に整備していくことを考えれば、来年度に入って早々に方針を明らかにしていく話し合いの場を設ける必要があるように思います。

あなたの会社では準備がすすんでいますか?