「働き方改革」に関する仕事の中で、県下の事業場にワーク・ライフ・バランスの推進サポートを行っています。
その中で、年次有給休暇の取得促進について、事例をお伝えしながらお話しています。
そこでの取締役やその目的や事業場の人事労務ご担当者の反応は、事業場によって驚くほどの違いがあります。反応の違いの根っこにあるのは、その企業の休暇取得に対する考え方、職場の慣習的なものだったりします。
目には見えない、企業に漂っている空気に縛られて、取得できないという方もいらっしゃるかもしれません。
体調不良でもない限り、特別な用事がない限り、年次有給休暇を取得するものではない。
本当にそうでしょうか?
目次
出勤していれば働けているといえるのか
体調不良で会社を休めば、会社にとっては損失であることは明らかですが、出勤していればよいかというとそうでもありません。
「アブセンティズム」、「プレプレゼンティズム」という言葉をご存知でしょうか。
「アブセンティズム」は体調不良いによる欠勤ないし休業状態をいい、「プレプレゼンティズム」は出勤はしているものの、健康状態が思わしくなく、業務に支障をきたしている状態をいいます。
これからの季節の花粉症や誰しも経験したことがあるであろう睡眠不足、高熱をおしての出勤など、その時の自分の状態を思い出してもらうと、明らかに100%の成果が出せているかと聞かれればハイとは言えないのではないでしょうか。
20日間、70%のコンディションで稼働すると 20×0.7=14日
3日休んで17日間を90%のコンディションで稼働すると 17×0.9=15.3日
3日お休みをとってコンディションを戻したほうが生産性が上がるということもあります。
コンディションの悪いまま働くということは、低い生産性で業務をこなしているだけでなく、ミスが発生すればそれを取り戻すためのプラスαの時間が必要になります。
業務の遅れを取り戻すために、残業や休日出勤が必要になるかもしれません。
そして、さらにコンディションを悪化させ、労働者自身は負のスパイラスに陥ってしまう。
会社にとっては、残業代や休日出勤の賃金など、本来必要なかったかもしれないコストがかさんでしまうことになります。
メリハリが大事
これからの時代、育児に限らす、親の介護、自分自身の病気と治療の両立など(高齢でも働き続ける必要性からその確率は今後ますます高まる)、時間的な制約を持っている社員が多数を占めていきます。
今までのような、無尽蔵に時間を費やせばよいという時代は終わりました。
「働くときは働いて、休む時はしっかり休んでリフレッシュする。」
当たり前ですが、今後はより意識していかなければならないテーマです。
「そんなに理想通りにはいかないよ。休む時しっかり休んだって、その分働くかっていったらそうじゃない。」
こんなお答えをいただくことも多いです。
ただ、労働者に60,70%のコンディションを保ってもらいたい事業主はいないでしょう。
可能な限り100%に近い状態で働いてもらいたいはずです。
であれば、月に1回くらい純粋なリフレッシュのために年次有給休暇を取得することもアリとしてみてはいかがでしょうか。
残業代や休日出勤にかかった人件費、欠勤率や生産効率や売上高、経常利益など、客観的に数字でみることができるものをピックアップし、休暇取得によるリフレッシュ効果がどれほどあるのか、見える化してみてください。
取得促進の取組前と後で、休んでいるけれど売り上げが上がるという変化を感じていただけるのではないかと思います。