妊娠した従業員からの申出による業務軽減配慮

 

2017年1月からマタハラ、パタハラ防止義務が事業場にかされました。

関連する法律と裁判について、まとめておきたいと思います。

 

目次

妊娠にまつわる事業場対応

労働基準法第65条3項「使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない」。

いまだに、妊娠した従業員への退職を勧奨する事業場もあります。

育児休業明けの労働者から時短勤務を申し出られ、「顧問の先生から賃金は3/4くらいにしても言いと聞いたがそれでいいかね?時短勤務困るんだよね~」などと耳を疑うようなことを言われることもあります。

1時間早く帰っても、所定労働時間が8時間ならノーワークノーペイで1/8減。それ以上の減額をする根拠がわかりません。

他の従業員への迷惑料?笑えません。

短時間で成果を上げる習慣がない、無尽蔵に時間をかけて仕事をすることが美徳になっている事業場の典型的なパターンです。

知らないということはとても恐ろしいことで、今回の育児・介護休業法や男女雇用機会均等法についても最低限知っておくことで、不必要な争いをおこさないことがベストです。

 

妊娠中の従業員の業務軽減

マタハラ裁判 ツクイ事件(福岡地裁小倉支部平成28年4月19日判決)。

妊娠した介護職員が、業務軽減をお求めた面接における上司の発言やその後の配慮がなされずマタハラとして慰謝料を求めた。福岡地裁小倉支部は、面談で上司が業務態度の改善指導に終始したことは配慮不足で人格権侵害としたほか、面談から1ヵ月経っても対応をせず健康配慮義務に違反するとした。会社も就業環境の整備義務に違反し、連帯して35万円の賠償を命じた。

出典:労働新聞平成29年1月30日より

具体的な管理職の発言としては、「妊婦として扱うつもりないんですよ」「万が一何かあっても自分は働きますちゅう覚悟があるのか、最悪ね。だって働くちゅう以上、そのリスクが伴うんやけえ」などがあげられています。

介護職員自身も業務態度等を改める必要があったようですが、その指導と軽作業への転換対応を別物として対応できなかったことが問題のように思います。

雇用管理上の措置が使用者に義務化された今、管理職がこのような発言をすることがないよう、ハラスメント防止措置を実施することが求められます。