何で見聞きしたのか覚えていないのですが、「人とのつながりが寿命をのばす」という話があるようです。
独身者と既婚者には8年の寿命差があるといいます。
これは、一人だと食生活をはじめとした生活習慣が不規則になりがちだということも原因の一つだと思いますが、「つながり」というキーワードもあるように思います。
今日は「つながりと寿命」ではなく、「つながりと生産性」について考えてみたいと思います。
目次
人間関係を円滑にするには「飲みニケーション」
「仕事は仕事」「プライベートはプライベート」という考え方を持つ若者が増えています。
社員旅行やバーベキューなどの行事を計画、実行している事業場も少なくなっています。
隣同士でもメールでやり取りしたり、プライベートなことを根掘り葉掘り聞くのは「個の侵害」的なパワハラにもなりかねないので、そのような話を避ける傾向にもあります。
職場内で同僚、メンバーと良好な「つながり」をつくるにはどうしたらよいでしょうか。
日本ではお酒の席の中で絆を強めるという慣習があります。年代によっては「飲み会」が一番だと考える方が多いように思います。
そして、「飲み会」に参加したがらない若者に、「だからコミュニケーションが取れないんだ」と結論付けてしまいがちです。
ある企業では、休憩室を喫茶スペースのように整え、就業時間後にはお酒までのめるという社員の憩いの場を作っています。これも一つの方法です。
ただ、「飲み会」の席でなければ、コミュニケーションをとることは難しいのでしょうか。
「雑談」が仕事の効率を上げる?
あなたは職場で雑談をしていますか?
職務時間内に必要以上の雑談をすることは好ましいとは言えないかもしれません。
しかし、チームの生産性向上には、「雑談」が有効だということが分かってきたようです。
職場では、当然と言えば当然ですが同僚との会話も仕事の話が中心になりがちです。それとは別に、同僚とどれだけ雑談ができるかが同僚のサポートの多さにつながるというのです。
マサチューセッツ工科大学で、首からさえるカード状のバッジにマイクとセンサーをつけて、社内のどこで誰がどういう会話をしているのか(内容そのものはわかないが会議室で会議をしているか、休憩室で雑談をしているかがわかる)、職場内の人間関係を可視化する実験をしたそうです。
その結果をして明らかになってきたのが、「雑談」の大切さだったと言います。
そのほかにも、バンク・オブ・アメリカというアメリカの大手銀行では、コールセンターのメンバーの生産性に個人の能力や管理職のマネジメント能力だけでは説明できないような生産性の差があったそうです。
生産性の違いに影響を与える要因を調べたところ、「雑談」が影響していたというのです。
そこで、コーヒーブレイクの時間をそろえ、コミュニケーションを促すことによって、パフォーマンスの低いチームの生産性は2割増したそうです。
「雑談」を業務時間内にファシリテートする
「雑談」となると、する人はするし、しない人はしない、あの人とは話すけど、この人とは話さないという関係性による影響が出てきます。
そこで、「雑談」ほどフランクに、様々な話題を自由に話させるものではありませんが、プライベートな話を業務時間内にできる時間をアエテ設けることで、社員間のコミュニケーションを円滑にする方法をお伝えしたいと思います。
毎月1回、業務時間内に設けているミーティングの場に、ある種の「雑談時間」を設けるのです。
1時間のうち30分を業務改善に向けた話し合い、残りの30分はお題を決めてプライベートなことを話す時間にします。
1グループ10人くらいで、出来る限り職種や年代の異なる人が同じ会になるように、グルーピングを行います。
そのグルーピングは会ごとに変えていきます。
各グループに会のファシリテーター(進行役)を決め、発言を否定しない等、一定のルールを設け、プライベートなこと(年末年始にどんなことをしましたか?等)、仕事に関すること(書類時間短縮のためにどのような工夫をしていいますか?等)の2つのテーマを設けます。
これにより、社員同士の絆がが深まり、近年増加の一途をたどるパワハラやセクハラなどのハラスメントを含めた人間関係の問題の発生を防ぐことにつながります。
仕事をしている姿はもちろん、仕事から離れたときにその人がどのような人かを理解することが、仕事をスムーズに進めることに大きく影響します。
導入の効果は?
社員研修や会議すら時間外に設定している業界で、香川県の中でも実際に行っている事業場があります。
実際のこの取り組みを行っている事業場の効果は、求人が厳しい業界であるにもかかわらず、人を募集しても応募がないというお悩みをお持ちでないことや、定着率の高さに表れています。
QC活動、5S活動、業務改善に向けた取り組みをしている事業場は多いです。
しかし、「雑談時間」をあえて業務時間内に設けている事業場はなかなかありません。
例えば、会の導入前にファシリテーターの基本を社員研修で学んでもらいます。そのうえで、各会のファシリテーターを社員の中で順に担当してもらいます。
こうすることで、「雑談時間」を設け、仕事の効率があがるだけでなく、社員には場づくりの手法が身に付きます。
会議運営自体も必然的に効率化され、短時間で中身の濃いアウトプットを引き出すことにもつながります。
せっかく、業務改善に向けた何らかの活動をおこなっているのであれば、そして、その時間がマンネリ化していたり、本来の目的を見失っているのであれば、より有意義なものにするために、社内ファシリテーターを養成する機会とされてはいかがでしょう。
ファシリテーターの養成を含めた、小集団活動の運営などもサポートしております。
お気軽にお問い合わせいただければと思います。